家庭菜園初心者の方でもわかるように、大根の肥料について紹介します。
おすすめの肥料や、やり方など、これを知っておくとおいしい大根がつくれます。
現役農家の「てんぞ」が解説します。
大根の肥料
大根は、肥料の吸収力が強く、肥料が少なくても良く育ちます。
大根の肥料のおすすめ
大根の肥料の種類|堆肥
堆肥は、完熟で臭いの少ないものがおすすめです。
未熟な堆肥を使うと、根が又根になるなど、生育に悪い影響がでます。
大根の肥料の成分には、三要素がバランスよく配合されているものがいい
大根の肥料には、窒素、リン酸、カリウムがバランスよく配合された肥料がおすすめです。
窒素は、葉の成長に欠かせません。
葉が成長することで、茎や根に栄養を届けることができます。
リン酸やカリウムは、茎や根の生育に関わるので、栄養のある大きい大根をつくるために大切な要素です。
大根栽培には、生育初期から最後まで、肥料が過不足ない状態にするのがいいです。
大根の肥料には、緩効性の有機肥料がおすすめ
大根の肥料は、緩効性の有機肥料がおすすめです。
緩効性の肥料を使うことで、生育期間中に肥料の効果が保てます。
ただ、緩効性の肥料だけだと、生育初期に肥料が効かない可能性があります。
生育初期に窒素が不足すると、葉が成長せず、いい大根ができません。
なので、元肥には、すぐに肥料効果の出るボカシ肥(有機肥料)を使うか、有機肥料に化成肥料を混ぜて使うことをおすすめします。
有機肥料を使うときの注意点は、気温によって肥料効果が違うことです。
気温が高いときは肥料の効果が出やすいので、肥料は少なめにします。
逆に、気温が低いときは肥料が効きづらいので、肥料を少し多めにしましょう。
大根の肥料には油かすも有効
大根を育てる際に使える肥料として、油かすがあります。油かすは、油を絞った後の残り物で、肥料としての効能が認められています。この記事では、大根に対して油かすを用いる場合のメリットと注意点を解説します。
油かすのメリット
油かすを肥料として使うメリットはいくつかあります。
- 有機物が豊富: 土壌に有機物を供給し、土の質を改善します。
- 多少の保湿効果: 土壌が乾燥しにくくなる場合があります。
- 安価で手に入る: 比較的安価で、量も多く手に入れやすいです。
注意点
しかし、油かすを使う際には以下のような点に注意が必要です。
- 過剰使用禁止: 油かすは成分が濃いため、多く使いすぎると土壌に悪影響を及ぼす可能性があります。
- 臭いがある: 油かす特有の臭いがあり、近隣に迷惑をかける可能性があります。
- 病気や害虫: 油かすが古い、または汚れていると、病気や害虫の原因になることがあります。
使用時のポイント
- 少量から始める
- 土とよく混ぜ合わせる
- 使用前に品質を確認する
油かすは大根に使える肥料の一つですが、適量と適切な使い方が必要です。土壌の状態や大根の成長具合を見ながら、量を調整しましょう。油かすをうまく使えば、大根がより健康に成長する可能性があります。注意点をしっかり理解した上で、効果的に活用してください。
大根の肥料に牛糞
牛糞は大根の肥料として一般的に用いられます。特に有機肥料として人気があり、土壌の質を改善する効果があります。
メリット
- 土壌の質を向上
- 持続的な栄養供給
- 大根の味を良くする可能性
注意点
- 過剰に使うと根にダメージ
- 加工されていない生の牛糞は病原菌のリスク
- 独特の臭いがあるので注意
使い方
- 牛糞を土とよく混ぜる
- 収穫前は肥料を控える
短い期間での効果は少ないかもしれませんが、長期的には土壌の質が向上し、大根も健康に成長する可能性が高くなります。ただし、使いすぎには注意が必要です。
大根の生育に合う土壌phは5.5~6.5|石灰をまきすぎないようにする
大根の生育に合う土壌酸度は、ph5.5~6.5です。
大根は酸性の土壌で良く育ちます。
石灰をやりすぎて、土をアルカリ性にしないようにしましょう。
大根栽培の肥料のやり方
大根栽培での肥料のやり方で注意することは、堆肥、肥料の塊に大根が触れないようにすることです。
塊に触れると、形の悪い大根ができたり、生育が悪くなります。
石やゴミなども大根が変形する原因になるので、耕すときに取り除きましょう。
大根栽培の肥料のやり方①|全面施肥
肥料を全面にまいて栽培する方法があります。
全面にまく場合は、塊ができないように、よく耕す必要があります。
堆肥は1か月以上前にまいて、よく耕して細かくしてください。
植えつけの直前に堆肥をまくと、土になじまずに、大根に触れて生育に悪い影響がでることがあります。
肥料は1~2週間前にまき、よく耕して塊がないようにしてください。
大根栽培の肥料のやり方②|溝施肥
大根栽培でおすすめなのが、溝施肥です。
溝施肥とは、溝を掘って、そこに肥料をまとめてまくことです。
肥料をまとめてまくことで肥料の効果が高まります。
溝は、大根を植えた場所から15cmくらい離れた所につくりましょう。
離れた場所に肥料をまくので、大根が肥料に触れる心配がありません。
溝は、二条植えなら条間に、一条植えなら株間につくるのがいいです。
大根の肥料のタイミング・時期
大根を育てる際には、肥料のタイミングも非常に重要です。いつ、どのくらいの量を与えるかによって、大根の成長や味に影響を与えることがあります。ここでは、大根に肥料を与える最適なタイミングとその理由を説明します。
種まき後
大根の種をまいた直後は、特に肥料は必要ありません。この時点で肥料を与えすぎると、根ではなく葉に栄養が行ってしまいます。
初期成長期
大根が芽を出し、一定の大きさに成長したら、初めて肥料を与えます。このタイミングで与える肥料は、
- 軽く土に混ぜる
- 量は控えめに
が基本です。
中間成長期
大根がさらに大きくなり、根も成長してきたら、もう一度肥料を与えることがあります。
- 根が育ってきた証拠を確認する
- 与える肥料は前回よりも少し多め
収穫前
収穫の1~2週間前には、肥料を与えないようにしましょう。この期間に肥料を与えると、味が落ちたり水っぽくなる可能性があります。
大根に肥料を与えるタイミングは主に3つ、種まき後の初期成長期、中間成長期、そして収穫前です。各成長期に合わせて適量の肥料を与え、大根が健康に成長するように心掛けましょう。逆に肥料を与えすぎたり、タイミングを間違えると大根の成長や味に悪影響を与える可能性がありますので、注意が必要です。
大根の肥料の追肥のやり方|時期は、間引き・中耕のときに一緒にやるのがいい
大根の生育が悪い場合は、追肥をおこないます。
追肥は、間引き、中耕のときに一緒にやるのがいいです。
追肥をするときは、株の付近にまかずに、株から10~15cm離れた所にまきましょう。
株の付近にまくと、大根が肥料が触れて、肥料焼けをおこします。
追肥には、即効性の化成肥料がおすすめです。
生育後期に肥料が多く残っていると、味が悪くなります。
生育後期の追肥はなるべく控えたほうがいいです。
大根栽培では、肥料のやりすぎで生育が悪くなる
大根を育てる際に肥料は重要な要素ですが、やりすぎると逆に成長に悪影響を与えることがあります。ここでは、「肥料のやりすぎ」が大根に与える影響とその対策について詳しく説明します。
肥料のやりすぎの影響
肥料を過剰に使うと、以下のような問題が起こる可能性があります。
- 根の傷み: 大根の根はデリケートで、肥料の成分によって傷むことがあります。
- 味の低下: 栄養過多で水分が多くなり、味が薄くなる可能性があります。
- 病気や害虫: 肥料の成分が土壌に溜まると、病気や害虫が発生しやすくなります。
対処法
肥料のやりすぎに気づいた場合は、次のような対策が有効です。
- 肥料の量を減らす: 一度肥料の使用量を減らしてみて、様子を見ましょう。
- 水で薄める: 肥料が濃すぎる場合は、水をしっかり与えて肥料を薄めます。
- 土壌の状態を確認: 土壌テストキットで土の状態を確認し、必要な肥料量を再調整します。
大根に肥料を与える際は、「やりすぎ」に注意が必要です。適量の肥料を与えることで、健康な大根が育ちます。肥料の使用量は土壌の状態や大根の成長に応じて調整しましょう。これにより、美味しい大根を楽しむことができます。
大根に肥料はいらないという意見
大根は日本の家庭菜園でよく見られる野菜の一つですが、「肥料はいらない」という意見も存在します。その理由と注意点について簡単にまとめます。
肥料なしで成長する大根
大根は、元々肥沃な土壌よりも、あまり栄養がない土地でよく育つ特性があります。
- 肥沃な土壌では葉ばかりが育つ
- 肥料が少ない方が味が濃くなる
このような特性から、「肥料はいらない」と言われることがあります。
しかし注意も必要
ただし、完全に肥料を与えないと、以下のような問題が起きる可能性もあります。
- 栄養不足で成長が遅くなる
- 病気や害虫に弱くなる
肥料の与え方を工夫
肥料を使わない場合でも、土壌の状態はチェックすることが重要です。必要な場合は少量の肥料を与えるか、他の方法で土壌の栄養バランスを整えましょう。
大根は肥料が少なくてもよく育ちますが、全く与えないと栄養不足や病気のリスクが高まる可能性があります。肥料の有無に関わらず、土壌の状態をしっかりとチェックし、必要な栄養補給を行うことが大切です。
大根に肥料が不足すると、大きくならない
肥料が不足すると、大根の生育が悪くなり、根が大きく育ちません。
特に、窒素が不足すると、葉が育たないです。
葉が育たないと、光合成ができないので、茎や根に栄養が届けられなくなります。
また、ス入りの大根ができやすくなります。
ス入りとは、大根の根の中に空洞ができることです。
窒素不足でス入りするということは、根に栄養が少ないということです。
窒素が少ないときには、葉が黄色くなります。
葉が全体的に黄色い場合は、窒素不足の可能性があります。
もし、肥料不足で大根の生育が悪い場合は、追肥しましょう。
特に、大根の肥大期には、肥料が必要です。
大根の肥料で鶏糞を使う効果
鶏糞は肥料の三要素をバランスよく含みます。
鶏糞は堆肥ですが、主に、肥料として用います。
有機肥料の中では、即効性があり、効果期間が短いです。
大根の肥料に鶏糞をまく場合は、完熟した臭いのないものを使いましょう。
未熟な鶏糞をまくと、大根の生育が悪くなります。
土に鶏糞の塊を作らないことも大事です。
塊に大根の根が触れると、又根になったり、変形した大根ができてしまいます。
鶏糞は肥料の効果が強いので、肥料焼けを起こしやすいです。
全面にまくよりも、植える場所から10~15cmのところに溝を掘って、その溝に、鶏糞をまく方法がおすすめです。
大根には、肥料でホウ素をまく必要はある?
大根は、ホウ素が欠乏しやすいです。
ホウ素が欠乏すると、生育が悪くなり、根に亀裂が入ったり、コルクのようにもろくなります。
芯が黒くなったり、ス入りの症状もでます。
phが高く、アルカリ性の土だと、ホウ素が土に溶けださず、根が吸収できないことがあります。
phが低くても、雨でホウ素が流されて、欠乏することがあります。
また、乾燥していると、ホウ素が水に溶け出さないため、不足します。
ホウ素欠乏の対策には、ホウ素の吸収量の多いアブラナ科の野菜を連作しないことです。
土の水分の状態を管理して、phを適正に保つことも大事です。
ホウ素の肥料をまくことも、ホウ素を補う方法の一つです。
ホウ素の肥料には、ホウ砂、FTE(微量要素肥料)があります。
まとめ
大根の肥料のおすすめは、有機肥料です。
堆肥には、完熟で臭いの少ないものがおすすめになります。
また肥料のやりすぎてしまうと、葉が過繁茂し、根が大きくなりません。
又根になったり、根が割れたりなど、軟腐病の原因にもなります。
また、窒素過剰だと、味が苦くなる可能性もありますので、肥料のやり過ぎには、注意が必要です。
家庭菜園の有機栽培についてもっと知りたい、という方にはオンラインスクールもおすすめです。
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