玉ねぎの育て方|大きくおいしく作るには?|農家が解説

家庭菜園

玉ねぎは、育て方さえ知っていれば、家庭菜園初心者でも作りやすい野菜です。

今回は、玉ねぎの種まきから収穫、収穫後の保存方法まで栽培のポイントとともに紹介します。

これを読めば、玉ねぎの基本的な育て方がわかります。

初心者の方でもおいしい玉ねぎができるように、現役農家のてんぞが玉ねぎの育て方について説明します。

目次

家庭菜園での玉ねぎの育て方|基本情報

まずは、育て方の前に、玉ねぎの基本情報を紹介します。

玉ねぎは、中央アジア原産の野菜

日本に入ってきたのは、明治初期のころです。

なので、長い歴史のある日本の野菜栽培の中では、比較的新しい野菜といえます。

栽培の歴史が浅い玉ねぎですが、今では日本での野菜消費量で

トップ3に入るほどの人気を誇っています。

今回は、そんな人気の玉ねぎについて紹介します。

玉ねぎは、ユリ科の野菜

ユリ科の野菜というと、ネギやニラなどと同類です。

ユリ科の野菜は、病害虫に強い野菜が多いので、育てやすい野菜が多いです。

玉ねぎも病害虫被害にあいづらいので、家庭菜園で作りやすい野菜です。

普段食べている玉ねぎの玉の部分は、茎や根っこではなく、葉の一部

玉ねぎの葉の一部が肥大したもので、鱗茎(りんけい)と呼ばれています。

なので、玉ねぎの玉を大きくするには、葉を育てる必要があります。

この玉ねぎの特徴を理解しておくことは、玉ねぎ栽培において、とても重要です。

玉ねぎは連作することもできます。

しかし、連作すると、苗立ち枯れ病などの病気を患う可能性があるので、

できれば1年くらいはあけた方がいいです。

家庭菜園での玉ねぎの育て方|栽培時期

玉ねぎ

家庭菜園の玉ねぎの栽培時期は、次のようになっています。

・種まき:9月~10月初旬

・苗植え:11月~12月初旬

・収穫:4月~6月

※栽培時期は、地域、品種によって違いがあります

家庭菜園の玉ねぎには様々な品種

玉ねぎの品種には、早生、中生、晩生などがあり、それぞれ栽培時期に違いがあります。

早生が収穫が早く、晩生が一番遅いです。

早生と晩生では、栽培時期が1か月ほど違うので、注意してください。

早く収穫したいなら早生、じっくり育てて長期保存したいなら中生、晩生がおすすめです。

玉ねぎは、地域によって育て方が違う

そのため、たくさんの地方品種が出回っています。

お住いの地域にあった品種を選ぶと、玉ねぎがうまく育ちやすいです。

家庭菜園での玉ねぎの育て方|種まき

玉ねぎ (1)

家庭菜園の玉ねぎの種まきについて説明します。

ただ、家庭菜園初心者の方は、苗から育てる方が簡単かもしれません。

種まき

玉ねぎの種まきは、早生だと9月上旬、中生、晩生は9月下旬ころに行います。

玉ねぎの種は、畑に直播きするより、育苗箱にまく方が育てやすいです。

苗を育てる土は、市販の種まき用の培養土を使うと、いい苗を作りやすいです。

育苗箱に培養土を平らにしいて、玉ねぎの種をばらまきします。

ばらまきする際、種の間隔を1cmほど開けると、しっかりした苗が育ちやすいです。

種をまいたら、1cmほど覆土します。

あまり厚く覆土する必要はありません。

種まき後は、乾燥しないようにしっかり水やりをしましょう。

土にもみがらをかぶせると、乾燥しづらくなり、水やりで種が流されなくなります。

育苗

育苗では、葉数3枚以上、葉鞘部(葉の白い部分)6~8mmの苗を作るのが目標です。

玉ねぎ苗は、大きすぎても、小さすぎても生育がうまくいかないです。

家庭菜園でしっかりした玉ねぎを作るためには、適切な大きさの苗を育てることが大事です。

家庭菜園での玉ねぎの育て方|土作り

玉ねぎの元肥は、リン酸を多めにします。

リン酸を多めにすることで、根が良く張るようになります。

リン酸肥料には、骨粉、熔成リン肥などがあります。

玉ねぎに適した家庭菜園の土壌酸度は、ph=6.0~7.0とアルカリ寄りです。

なので、家庭菜園の土の酸度が強い場合は、石灰を多めに施しましょう。

の畝(うね)に玉ねぎ用の穴あき黒マルチシートをはると、

雑草の繁殖を防げ、霜が降りづらくなります。

土作り

家庭菜園の玉ねぎの土作りの一例は、以下のようです。

・苗植えの2~3週間前に、苦土石灰を100~150g/㎡施して、よく耕す。

・苗植えの1~2週間前に、牛ふんを2kg/㎡、化成肥料を100g/㎡、

熔成リン肥を50g/㎡施して、よく耕す。

・幅70~80cm、高さ10cmの畝を作る。

・畝に玉ねぎ用の黒マルチシートをはる。

※化成肥料は、窒素、リン酸、カリウムが、8:8:8のものです。

家庭菜園での玉ねぎの育て方|苗植えつけ

家庭菜園の玉ねぎ苗の植えつけは、早生は11月初旬、中生、晩生は11月下旬に行います。

種から育てている場合は、だいたい種まきから2か月後くらいが苗植えの適期です。

苗植え

先ほど言ったように、苗は、葉数3枚以上、葉鞘部6~8mmのものを用意します。

これより大きいと、とう立ち(花茎が伸びる)しやすくなります。

とう立ちすると、味が悪くなったり、玉が大きくならなかったりと、

玉ねぎの生育に悪影響を及ぼします。

これより小さいと、大きく育たなくなり、冬に枯れてしまったりします。

葉鞘部の半分が埋まるくらいの深さに苗を植えつけましょう。

あまり深く植えると、生育不良になります。

玉ねぎは根が短いので、苗植え後は乾燥しないように水やりをします。

玉ねぎの株元にもみがらをまくと、保水効果があり、霜が降りづらくなります。

玉ねぎの苗植えは、霜が降りる前に行いましょう。

霜が降りると、玉ねぎの根の張りが悪くなります。

家庭菜園での玉ねぎの育て方|追肥

家庭菜園の玉ねぎの追肥は、冬の寒い間に行います。

追肥

中生、晩生の場合は、12月、2月、3月の3回に追肥します。

早生は、この1か月前に追肥します。

追肥は、玉ねぎの株元に化成肥料を一つまみ施します。

追肥の時期は、気温も低く、家庭菜園では玉ねぎもあまり育ちません。

しかし、育たないからといって追肥を怠ると、玉ねぎの生育に良くありません。

12月、2月に追肥するのは、とう立ちを防ぐためです。

玉ねぎは、この時期に窒素不足になると、とう立ちしやすくなります。

3月に追肥をすると、春以降の玉ねぎの生育を促してくれます。

なので、この時期に追肥を行うことは、とても重要です。

玉ねぎの追肥は、3月までで止めます。

4月以降に追肥をすると、肥大が遅れたり、病害虫被害にあいやすくなったり、

収穫後に腐りやすくなったりします。

家庭菜園での玉ねぎの育て方|収穫

玉ねぎは、葉が倒れたら収穫します。

収穫

倒れてから1週間が収穫適期です。

それ以降に収穫が遅れると、玉ねぎが腐りやすくなります。

玉ねぎの収穫は、晴天で、土が乾いている時がいいです。

収穫した後、そのまま家庭菜園の畑の上に置いて乾燥させてもいいです。

家庭菜園での玉ねぎの育て方|保存方法

玉ねぎは、日陰で風通しの良い所で保存します。

保存

5、6玉ずつ、葉をひもで縛って軒先などに吊るす保存方法があります。

ひもで縛るときに、葉が傷つかないように注意しましょう。

傷ついた葉は、病気のもとになるので、切って処分してください。

病気になっている玉ねぎを見つけたら、早めに処分してください。

家庭菜園での玉ねぎの育て方|病害虫

病気

べと病

症状:葉に黄白色の病斑ができ、葉が曲がる。

発症原因:加湿の状態で発症しやすい。

対策:密植を避け、雑草をこまめに刈り取り、通気性と日当たりをよくしましょう。

軟腐病

症状:葉の下部が灰白色になり、玉が腐る。

発症原因:排水不良、加湿の状態で発症しやすい。病気の株から感染する。

対策:畝を高くする、溝を掘るなどして排水をよくします。密植を避けます。

感染するので、病気の株を見つけたら、すぐに取り除きましょう。

また、葉の傷から感染するので、傷ついた葉は切り取りましょう。

害虫

ネギアザミウマ

特徴:褐色の小さな虫。

発生状況:高温期に発生しやすい。

被害:葉を食べ、葉が傷つき、育たなくなる。病気を感染させる場合もある。

対策:小さい虫ですが、なるべく早く発見して捕殺する。

雑草が繁茂していると、ネギアザミウマの住処になるので、こまめに雑草を刈り取りましょう。

まとめ

以上が、玉ねぎの育て方です。

玉ねぎは、初心者でも育てやすく、長期保存できるので、家庭菜園でおすすめの野菜です。

この記事を参考にして、玉ねぎ栽培をがんばってください。

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