ほうれん草の病気について、紹介します。
家庭菜園のほうれん草栽培では、病気が心配ですね。
「ほうれん草は病気になるの?」
「ほうれん草の様子が変だけど、何の病気にかかったんだろう?」
「病気を治すにはどうすればいいの?」
このような疑問の声を、よくお聞きします。
病気になると生育不良になり、ひどいと枯れてしまうこともあります。
せっかく栽培した野菜ですから、元気に育てたいですね。
そこでこの記事では、家庭菜園初心者の方でもわかるように、「ほうれん草の病気の種類や特徴、対策」をお教えします。
この記事を読めば、病気を防いで、立派なほうれん草を収穫することができるようになります。
農家の「てんぞ」が解説します。
ほうれん草がかかる病気の種類と対策
ほうれん草の病気の種類と対策について、紹介します。
病気にかかると、生育不良になります。
また、病気が悪化すると、枯れたり、腐ったりしてしまうことがあるので、対策することが大事です。
ほうれん草がかかりやすい病気の種類は、以下のものです。
・べと病
・萎凋病
・モザイク病
・炭疽病
・灰色かび病
・立枯病
・斑点病
ほうれん草は、葉が病気になることが多いです。
病気になると葉や株のどこかしらに症状が出るので、病気ごとの特徴を理解しておくと、対応しやすくなります。
ほうれん草の病気|べと病
特徴・症状
ほうれん草の葉に淡黄色の小さな病斑ができます。
しだいに病斑が拡がり、葉全体が黄色くなって、枯れます。
葉裏に灰色のかびができるのが、べと病の特徴です。
枯れた葉がべとべとになるため、「べと病」と呼ばれているようです。
べと病は、野菜によって症状が違います。
ほうれん草のかかるべと病は、「ホウレンソウべと病」といいます。
原因
べと病は、低温、多湿のときに発生しやすいです。
発症する時期は春と秋になります。
特に、雨の多いときに発生しやすいので、気をつけてください。
水はけが悪かったり、密植で通気性が悪かったりして多湿になると、べと病にかかりやすくなります。
また、肥料が多い場合も、べと病を発症しやすいです。
べと病は、土壌感染します。
また、かびの胞子が空気に運ばれて、他の株に感染していきます。
対策
多湿にならないように、水はけをよくして、密植を避けてください。
感染した株はすぐに取り除くようにしましょう。
連作すると発症しやすいので、連作は避けたほうがよいです。
前に栽培した野菜のゴミは取り除いておきましょう。
肥料はやりすぎないようにしてください。
農薬
ほうれん草のべと病に有効な農薬は、「アリエッティ水和剤」です。
ほうれん草の病気|萎凋病
特徴・症状
ほうれん草の下葉が黄色になり、しだいに萎れていきます。
萎凋病が進行すると、株が萎れて枯れます。
根が黒くなるのが、萎凋病の特徴です。
原因
萎凋病は、高温期にかかりやすいです。
発生時期は、7~9月になります。
土が酸性だと、発症しやすいです。
萎凋病は、土壌感染します。
菌が一年以上も土に残るので、連作すると萎凋病にかかりやすくなります。
対策
ほうれん草の栽培前に石灰を施して、phを6.5くらいにしておきましょう。
連作は避けたほうがよいです。
特に、前作で萎凋病が発症した場合は、栽培を控えるようにしてください。
土壌を消毒することで、萎凋病の発生を減らすことができます。
夏などの高温期に土に透明のビニールを被せて、2~3週間おいておくと、太陽の熱で土を消毒できます。
農薬
ほうれん草の萎凋病には、「GFベンレート水和剤」が有効です。
土壌の消毒には、クロールピクリンが使えます。
ほうれん草の病気|モザイク病
特徴・症状
ほうれん草の葉にモザイク模様の色の抜けたような病斑ができます。
モザイク病を発症すると、葉が縮れて、小さくなります。
生育が悪くなる、株が小さくなるなどの影響があります。
モザイク病は、多くの野菜がかかる病気です。
病気になった他の野菜から感染することもあります。
原因
モザイク病は、アブラムシが感染源になります。
発症する時期は、春から秋です。
アブラムシが多い時期に発生しやすい病気になります。
対策
モザイク病を予防するには、アブラムシが付かないようにすることが大事です。
アブラムシ除けには、防虫ネットが有効になります。
アブラムシは光の反射に弱いので、銀線入りの防虫ネットやシルバーマルチを使うと、付きづらいです。
雑草が生えているとアブラムシが住みつくので、雑草はこまめに処理するようにしましょう。
モザイク病は他の株に感染するので、感染した株は取り除いてください。
モザイク病を発症した株は、治療できません。
なので、モザイク病を発症しない環境を作ることが大事です。
農薬
アブラムシが感染源なので、アブラムシの対策になる農薬が適しています。
ほうれん草栽培でアブラムシを防除するには、「ベニカマイルドスプレー」、「粘着くん」が有効です。
ほうれん草の病気|炭疽病
特徴・症状
ほうれん草の葉に褐色で円形の病斑ができます。
病斑は大きくなると、灰色や淡黄色になります。
炭疽病が進行すると、病斑に穴があき、枯れてしまいます。
病斑に黒い点ができることがあります。
原因
多湿のときに発生しやすいです。
発生時期は、春から秋になります。
雨が多いと炭疽病が起きやすいので、春や秋雨のころは特に注意してください。
炭疽病は、胞子によって感染します。
対策
多湿にしないために、密植を避けて通気性をよくしてください。
水はけをよくするために、高畝(たかうね)にする、牛ふん堆肥をまく、などするとよいです。
他の株に感染するのを防ぐために、病気になった株は取り除くようにしましょう。
連作はしないほうがよいです。
ほうれん草の病気|灰色かび病
特徴・症状
ほうれん草の葉や茎に灰色のかびができます。
病気が進行すると、株が腐って枯れます。
原因
低温、多湿のときに発生しやすいです。
春や秋に発症することが多くなります。
特に、梅雨や秋雨のころは注意が必要です。
夏はあまり病気にかかりません。
かびの胞子によって感染します。
対策
多湿にならないように、通気性をよくしてください。
通気性をよくするには、密植を避ける、雑草を処理する、などの方法があります。
また、水はけをよくするために、高畝(たかうね)にしたり、牛ふん堆肥をまいたりするのも効果的です。
他の株に感染しないように、病気になった株は取り除いてください。
農薬
有効な農薬は、「カリグリーン」です。
ほうれん草の病気|立枯病
特徴・症状
ほうれん草の種が発芽した後に、根と地際の部分が褐色になり、腐っていきます。
しだいに、葉が枯れてしまいます。
本葉ができるまでの生育初期にかかることが多い病気です。
原因
高温多湿のときに発生しやすい病気です。
梅雨の時期に発症することが多いので、気をつけてください。
立枯病は、土壌から感染します。
対策
多湿にしないように、株間をあけて通気性をよくしてください。
水はけをよくするために、高畝(たかうね)にする、牛ふん堆肥を施す、などの方法が有効です。
土壌消毒すると、立枯病は発生しづらくなります。
気温の高い時期に、土に透明のビニールを被せて、2~3週間おいておくと、太陽の熱で土を消毒できます。
連作はしないほうがよいです。
農薬
ほうれん草の立枯病に有効な農薬は、「タチガレン液剤」、「オーソサイド水和剤」です。
クロールピクリンを使うと、土壌を消毒できます。
ほうれん草の病気|斑点病
特徴・症状
ほうれん草の葉に白っぽい小さな斑点ができます。
病斑が大きくなると、中央がへこんで、褐色になります。
大きな病斑には、緑黒色のかびが発生します。
病気が進行すると、葉が黄色くなり、枯れてしまいます。
原因
低温のときに発生しやすいです。
秋から冬にかけての時期は、気をつけてください。
対策
雨が土をはねることで感染するので、マルチや敷きわらをするとよいです。
他の株に感染しないように、病気になった株は取り除いてください。
ほうれん草の病気|まとめ
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
ほうれん草の病気について、紹介しました。
ほうれん草の病気対策のポイントは、以下のものです。
・多湿になると病気になりやすいので、通気性、水はけをよくするとよい
・葉に病気の症状が出やすいので、定期的に確認する
・連作はしないほうがよい
病気の特徴と対策を知っていると、病気にうまく対応でき、ほうれん草を上手に育てることができるようになります。
ぜひ、がんばってみてください。
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