家庭菜園でのほうれん草の肥料について、紹介します。
ほうれん草の肥料には、成分のバランスがよいものがおすすめです。
窒素が十分に含まれているものだと、葉の生育がよくなります。
肥料をまく量を間違えると、肥料切れ、肥料過多を起こすので、気をつけてください。
栽培前に石灰をまいて、pHを中性に近づけるようにしましょう。
ほうれん草は、酸性の土を嫌います。
農家の「てんぞ」が解説します。
ほうれん草の肥料のおすすめは?
ほうれん草の肥料では、窒素が十分に足りるようにしましょう。
窒素は「葉肥え」といい、葉の成長に必要な成分です。
秋まきのときは、寒さのために肥料の効きが悪くなります。
なので、元肥を多めにするか、追肥をして調整するのがよいです。
ほうれん草の肥料のおすすめの種類は、三要素のバランスがよいもの
ほうれん草におすすめの肥料の種類は、三要素(窒素、リン酸、カリウム)をバランスよく含むものです。
特に、窒素は葉の成長に大事な要素なので、窒素が多く入っているものを使うとよいです。
ほうれん草は栽培期間が短いです。
緩効性の有機肥料を元肥に使うと、追肥をしなくてもよく育つので、おすすめです。
ただ、有機肥料だと生育初期に肥料切れを起こすことがあるので、即効性の化成肥料も一緒にまくとよいです。
有機肥料は寒いと肥料の効きが悪くなります。
秋まきで気温の低い時期に栽培するなら、化成肥料の量を多くするとよいです。
ほうれん草の肥料|堆肥
肥料と一緒に堆肥をまくことで、肥料の効きがよくなり、ほうれん草の生育がよくなります。
また、畑の保水性、排水性が向上します。
堆肥には、完熟の牛ふん堆肥がおすすめです。
牛ふん堆肥には土壌改良効果があります。
肥料分が少ないので、多くまいても問題ありません。
未熟なものを使うと病気の原因になるので、気をつけてください。
未熟な牛ふんは臭いが強いので、臭いの少ないものを選びましょう。
鶏ふん堆肥を使う場合には、注意が必要です。
鶏ふんには肥料分が多く含まれているので、まきすぎると肥料過多になります。
鶏ふんは堆肥としてまくより、肥料として使うのがおすすめです。
ほうれん草の肥料|石灰
ほうれん草は酸性に弱いので、石灰をまいて土を中性に近づけるとよいです。
石灰には、土の酸度を上げる効果があります。
ほうれん草の栽培前に石灰をまいて、土の酸度を整えておきましょう。
ほうれん草栽培に適したpHは6.5~7.0|中性に近づけるとよい
ほうれん草の生育に適したpHは、6.5~7.0です。
ほうれん草は、土が酸性だと生育不良になります。
酸性の場合、下葉から葉が黄色くなったり、本葉2~3枚で成長しなくなったりします。
逆に、pHが8.0以上のアルカリ性だと、枯れてしまうことがあります。
日本の土は、酸性が多いです。
もし家庭菜園の土が酸性だったら、石灰をまいて土を中性に近づけましょう。
家庭菜園の土の酸度を調べるには、酸度測定液や酸度測定器などを使うとよいです。
スギナが多く生えていると、土が酸性の可能性があります。
ほうれん草の肥料におすすめの石灰の種類
土の酸度を上げるには、苦土石灰がおすすめになります。
苦土石灰は比較的効果が穏やかで、問題が起こりづらいので、使いやすいです。
ただ、まきすぎると土が固くなるので、気をつけてください。
他にも、かき殻石灰のような有機石灰も使えます。
かき殻石灰はミネラルが多く、効果がゆっくりと長く効きます。
また、土が固くなりづらいです。
ただ、苦土石灰に比べて、かき殻石灰は土の酸度を上げる効果は低くなります。
苦土石灰をまく量の目安
苦土石灰を200g/㎡まくと、pHが1上がります。
なので、苦土石灰をまく量の目安は、pH5.5の場合は200~250g/㎡、pH6.0の場合は100~150g/㎡くらいです。
ただ、畑によって石灰の効き具合は違うので、量はあくまで目安になります。
石灰は野菜を栽培するごとに、毎回まく必要はありません。
毎回まいていると土に成分がたまってしまい、土が固くなったり、pHが上がり過ぎたりします。
ほうれん草の肥料をまく手順
ほうれん草の元肥をまく手順を紹介します。
元肥をまく手順
- 種まきの2週間前に、苦土石灰をまいてよく耕す
- 種まきの1週間前に、堆肥、肥料をまいてよく耕す
塊ができないように、まいた後はよく耕しましょう。
深さ20cmくらいまで耕すとよいです。
苦土石灰は土になじむのに時間がかかるので、早めにまいてください。
石灰と肥料を同時にまくと、肥料の効果が弱まるので、時間をあけてまくようにしましょう。
ほうれん草が肥料切れを起こすとどうなる?対策は?
肥料切れを起こすと、ほうれん草の生育が悪くなります。
窒素が不足すると、葉が黄色くなります。
古い葉に症状が出るのが特徴です。
もし窒素が足りないようなら、追肥をしましょう。
追肥には、即効性の化成肥料がおすすめです。
肥料過多だとほうれん草が病気にかかりやすくなる
肥料が多いと、次のような生育に悪い影響が出ます。
・病気、害虫被害が多くなる
・苦み、えぐみが出る
肥料過多だと病気、害虫の被害が出やすいです。
病気では、べと病にかかりやすくなります。
窒素が過剰のときには、ほうれん草の葉色が濃くなります。
ほうれん草が肥料焼けすると枯れる?肥料のまき方に注意すると防げる
肥料焼けは、肥料のやりすぎなどで土の肥料分が多くなると起こります。
肥料焼けすると、萎れたり、葉が白くなって枯れたりします。
肥料焼けの対策には、以下のものがあります。
・肥料をまきすぎない
・肥料が一か所に固まらないように均等にする
・株元、葉など野菜に直に当たる部分にまかない
肥料の量を多くまかなくても、肥料が一か所に固まっていたり、野菜に直に当たっていたりすると、肥料焼けを起こすことがあります。
もし肥料焼けが起きたら、水を多くまいてください。
水をまくことで、土の中の肥料分が流れて、減らすことができます。
ほうれん草の生育が悪ければ追肥する|化成肥料がおすすめ
窒素不足で葉が黄色いなど、ほうれん草の生育がよくない場合は、追肥をするとよいです。
元肥に緩効性の有機肥料を使っていて生育に問題がない場合は、追肥をする必要はありません。
ほうれん草の追肥は、条間にまきます。
株のすぐ近くにはまかないようにしてください。
葉に肥料がついたら、手で払い落しましょう。
肥料をまいたら、土を軽く被せてください。
追肥には、即効性の化成肥料がおすすめです。
化成肥料(窒素:リン酸:カリウム=8:8:8)を30g/㎡くらいまきましょう。
ほうれん草の追肥には液肥も使える
ほうれん草の追肥には、液体肥料を使えます。
液肥は葉に肥料がくっつかないので、まきやすいです。
液肥には、肥料の三要素がバランスよく含まれている「住友液肥1号」がおすすめです。
「住友液肥1号」は、窒素が多めに含まれています。
窒素不足で葉が黄色いときに、有効です。
ほうれん草の肥料|まとめ
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
ほうれん草の肥料について、紹介しました。
ほうれん草の肥料のポイントは、以下のものです。
・肥料はバランスのよいものがおすすめ、窒素が十分に含まれていると葉がよく育つ
・栽培前に石灰をまいて、土を中性に近づける
・肥料切れ、肥料過多にならないように、肥料の量に気をつける
ほうれん草に適した肥料を与えることで生育がよくなり、おいしいほうれん草が収穫できます。
ぜひ、がんばってみてください。
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