家庭菜園初心者の方でもわかるように、畑の土作りについて紹介します。
野菜作りにおいて、土作りはとても大切です。
いい土を作れば、おいしい野菜ができます。
この記事には、いい土の条件から、土作りのやり方や時期、粘土質の改善など、土作りに関する様々な情報を載せています。
現役農家の「てんぞ」が解説します。
畑の土作りの基本|3つの要素と団粒化
土作りの基本の3要素を紹介します。
畑の土作りの3つの要素がわかれば、初心者でもいい土ができる
家庭菜園の畑でいい土作りをするには、3つの要素を知っておくといいです。
畑の土作りの3つの要素
畑の土作りの3つの要素は、物理性、化学性、生物性です。
物理性
物理性のいい土
・土がふかふかで適度な隙間があり、水はけ・水もち・通気性のいい土。
・野菜の根が張りやすい。
・石やゴミが少ない。
土に隙間があることで、新鮮な水と空気が入り、野菜や土の生物が過ごしやすい環境になります。
隙間があると、根も張りやすくなります。
石やゴミがあると、根の張りが悪くなったり、病原菌が繁殖する原因になり、よくありません。
化学性
化学性のいい土
・ph(土壌酸度)が適正。
・肥料の成分を含んでいる。
日本の土は酸性が多く、野菜はアルカリよりの土を好むことが多いです。
そのため、野菜の生育に合ったphに直す必要があります。
野菜の成長に必要な成分を含んでいることも、大事です。
生物性
生物性のいい土
・多様な生物が生息している。
多様な生物が繁殖していると、特定の害虫、病気が繁殖しづらくなります。
そのため、害虫、病気の被害を減らすことができます。
また、土の生物の働きによって、有機質肥料が野菜に吸収されるようになります。
それ以外にも、土をよくなるなど、様々な利点があります。
この3つの要素は、相互に関わりあっています。
例えば、生物性を改善して、多様な生物がいる土を作れば、微生物の働きで土がふかふかになり(物理性の改善)、有機肥料を分解して野菜の吸収しやすい状態にしてくれます(化学性の改善)。
逆に、土に隙間がなくなり、土のなかに新鮮な水、空気がなくなるばあい(物理性の悪化)、土に栄養成分がないばあい(化学性が悪化)、多様な生物がすめなくなります(生物性の悪化)。
土作りの3つの要素をよくするには、畑の土を団粒化させる
土作りの3つの要素(物理性・化学性・生物性)をよくする方法の一つに、畑の土を団粒化させることがあります。
団粒化とは、土が大小の柔らかいかたまりを作っている状態になることです。
土の中にかたまりがあるので、隙間ができ、野菜の根が張りやすく、通気性、水はけがよくなります。
また、土のかたまりは水を保持することができるので、水もちもよくなります。(物理性がいい)
団粒化の進んだ土は、腐植が多いです。
腐植とは、有機物が微生物に分解される過程でできたものです。
腐植は、肥料もちがよく、phの変化を緩やかにします。(化学性がいい)
団粒化は、土の中の微生物の分泌物などで作られます。
なので、団粒化した土には、多くの生物がいることになります。(生物性がいい)
畑の土を団粒化させる方法
土作りで畑の土を団粒化されるには牛糞、腐葉土などのたい肥をまくことが有効です。
たい肥をまくことで、それをエサにする微生物が増えます。
微生物の出す分泌物が土を団粒化させます。
また、微生物がたい肥などの有機物を分解する時にできた腐植も、土の団粒化を促します。
畑の土作りで粘土質の土を改善する
粘土質の畑の特徴
粘土質の畑は、肥料持ち、水持ちがいいという良い面があります。
その一方で、土の粒子が細かいため、固まりやすく、通気性、水はけが悪いという悪い面があります。
特に、水はけの悪さは問題で、ひどい畑だと、雨が降った後は、足の入れ場もないほどグチャグチャになります。
粘土質の畑を土作りでよくする方法
粘土質の畑の水はけをよくするためには、土作りで牛糞、腐葉土などのたい肥をまくといいです。
たい肥をまくことで、土が団粒化します。
団粒化すると、土に隙間ができて、通気性と水はけがよくなります。
土に混ぜた牛糞、腐葉土も、土に隙間をつくります。
他にも、畝(うね)を高くする、水路をつくるなどで、粘土質の畑の水はけを改善することができます。
粘土質の畑は雨が降った後、固まりやすいので、こまめに耕して、土を柔らかくして、土に空気を入れることが大切です。
畑の土作りはいつの時期にやるといいか
土作りを始める時期は、だいたい野菜を植える1か月前からやるのがいいです。
植える前に、石灰やたい肥、肥料などを土にまきますが、なじむまでに時間がかかります。
家庭菜園では、春植えと秋植えが人気です。
春植え(4月植え)なら2~3月、秋植え(9月植え)なら8月ころからやるといいです。
畑の土作りの順番
畑の土作りの順番、手順を紹介します。
畑の土作りは、植えつけの時期から逆算しておこないましょう。
初めて開墾した畑のばあいは、植えつけの1か月前から。
普段から使っている畑のばあいは、植えつけの2~3週間前からやるのがいいです。
開墾した畑では土の状態が悪く、土の中に微生物が少ないため、1~2か月前に、たい肥、米ぬかなどをまいて、微生物を増やすのがいいです。
微生物が増えるのは時間がかかるので、早めに準備しましょう。
開墾したての畑の場合の土作りの順番
・植えつけの1か月前
くわ、スコップなどで土を20~30cm掘り起こして、石、ごみを取り除く。
牛糞、腐葉土などのたい肥をまいて、よく耕す。
・植えつけの2~3週間前
苦土石灰をまいて、よく耕す。
・植えつけの1~2週間前
肥料をまいて、よく耕す。
最初に、土を掘り起こして、石やゴミを取り除きます。
石やゴミがあると、野菜の生育によくありません。
たい肥を1か月以上前にまくことで、土に微生物が増えます。
作りたての畑では、微生物が少ないので、たい肥をまくことはとても効果があります。
微生物が増えるのには時間がかかるので、早めにまいたほうがいいです。
苦土石灰をまくのは、主に、土壌酸度を適正にするのが目的です。
土壌酸度を野菜の生育に合った状態にしましょう。
石灰とたい肥、肥料を同時にまくと、窒素が逃げてしまうので、一緒にはまかないようにしてください。
ふだんからやっている畑の場合の土作りの順番
・植えつけの2~3週間前
苦土石灰をまいて、よく耕す。
・植えつけの1~2週間前
牛糞、腐葉土などのたい肥、肥料をまいて、よく耕す。
ふだんからやっている畑なら、土に微生物が十分にいるので、たい肥を1か月以上前にまく必要はないです。
肥料と一緒にまけば、手間も省けて楽でいいです。
畑をよくする土作りでの牛糞の効果
牛糞は、わらなどを食べた牛のふんを発酵させたたい肥です。
微量要素、三要素が含まれるので、それらの成分を土に補給することができます。
ただ、肥料の成分は少しだけで、主に、土壌改良材として使います。
牛糞を畑にまくと、土がふかふかになり、保水性、排水性、保肥性、通気性がよくなります。
牛糞は土の腐植を増やしてくれます。
腐植は微生物のエサになるので、腐植が増えると微生物が増えます。
また、牛ふん自体も微生物のエサになります。
牛糞は繊維質を多く含みます。
繊維質は分解されるのに時間がかかるので、長期間ゆっくりと効果があります。
畑をよくする土作りでの腐葉土の効果
腐葉土は、落ち葉を発酵させたものです。
微量要素は含みますが、肥料の成分はあまりなく、土をよくするために用います。
腐葉土の効果は、土をふかふかにし、通気性、保水性、保肥性を向上します。
形が残っているものが多く、土に入れると隙間ができるので、排水性もよくなります。
牛糞より分解に時間がかかり、効果が少しずつ長くでます。
畑は酸性が多い。土作りで石灰を使うと、土をアルカリ性にできる。
石灰には、土壌酸度(ph)を上げる効果があります。
日本の畑は酸性が強いですが、多くの野菜はアルカリよりの土壌を好むので、酸度を調整する必要があります。
石灰をまくことで、野菜に適した土作りができます。
ただ、じゃがいものような酸性を好む野菜もあるので、注意してください。
石灰の使い方|苦土石灰がおすすめ・肥料と同時にはまかない
石灰質肥料では、苦土石灰が使いやすいです。
苦土石灰には、カルシウムとマグネシウムが含まれていて、それらの成分を土に補給することができます。
石灰は、肥料、たい肥と同時に畑にまかないほうがいいです。
一緒にまくと、肥料、たい肥に含まれる窒素がアンモニアガスになって、逃げてしまいます。
畑でいい野菜を育てるには、土作りでの肥料の使い方が大事
畑に肥料をまく主な目的は、肥料の三要素(窒素、リン酸、カリウム)を土に補給することです。
肥料の三要素は、野菜の生育にとって欠かせないものです。
肥料には、有機肥料と化学肥料があります。
有機肥料は、動物や植物などの有機物から作られた肥料です。
有機物が微生物に分解・無機化されてから野菜に吸収されるため、ゆっくりと長く効くのが特徴です。
化学肥料は、化学的に成分を抽出して作られた肥料です。
土にまくと、即効性があり、効果の期間が短いものが多いです。
畑の土作り|米ぬかの効果、使い方
米ぬかは、精米するときに出る米の削りかすです。
リン酸が多く、糖分とタンパク質が豊富で微生物のエサになるのが特徴です。
肥料として畑にまくと、効果がゆっくり長くでます。
米ぬかは保管していると、塊になりやすいです。
ほぐして細かくしてまかないと、塊に害虫が寄ってくるので、注意してください。
また、米ぬかは保管しているときに虫が寄りやすいので、保管の仕方に気をつける必要があります。
すぐに使うか、家のそばに置かないなどの工夫をするといいです。
ボカシ肥を作るときに、米ぬかを混ぜると、発酵を促して早くできます。
米ぬかは、精米所に行くと無料で手に入ります。
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