ほうれん草栽培で失敗する原因とその対策について、紹介しています。
ほうれん草の栽培で失敗してしまう原因には、いろいろあります。
土が酸性だと、大きくならずに枯れる原因になります。
他にも、「肥料」や「日当たり」、「気温」などの要因で生育不良は起こります。
生理障害や病害虫被害にあうこともあるので、注意してください。
失敗する原因と対策を知ることで、ほうれん草の栽培がうまくいきやすくなります。
農家の「てんぞ」が解説します。
ほうれん草栽培で大きくならない・育たない失敗の原因と対策|生育不良になり枯れることもある

栽培したほうれん草が大きくならない、育たないなどの失敗の原因と対策について、紹介します。
ほうれん草栽培でうまく育たない原因には、以下のものがあります。
・土が酸性
・肥料不足
・生育温度に合っていない
・株間が狭くて混み合っている
・土を耕していない
・日当たりに問題がある
ほうれん草の栽培がうまくいかない原因は、様々です。
土が酸性だったり、気温が高かったり、日当たりがよすぎたりすると、大きく育たないことがあります。
生育不良になる原因とその対策を知っておけば、失敗することは少なくなります。
ほうれん草栽培で育たない失敗の原因|土が酸性
ほうれん草は、酸性に弱いです。
土が酸性だと、本葉2~3枚で生育が止まったり、葉が黄色くなって枯れてしまったりします。
発芽後にすぐ枯れてしまうこともあるので、気をつけてください。
ほうれん草に適した土壌の酸度は、pH6.5~7.0になります。
日本は酸性の土が多いです。
栽培前に酸度測定液や酸度測定器で家庭菜園の土の酸度を測定しましょう。
土が酸性の畑では、スギナが多く生えています。
対策
もし土が酸性だったら、石灰をまいてpHを上げるようにしましょう。
石灰資材の中では、苦土石灰が使いやすいのでおすすめです。
効果が出るまで少し時間がかかるので、栽培の2週間前までにはまいてください。
ほうれん草の生育初期に土が酸性だと、そのまま枯れてしまうことがあるので注意してください。
苦土石灰はまきすぎないようにしましょう。
まきすぎるとpHが上がりすぎて、ほうれん草の生育が悪くなります。
一度上がったpHは、下げづらいです。
土も固くなるので、気をつけてください。

ほうれん草栽培で育たない失敗の原因|肥料不足
肥料不足だと、ほうれん草の生育が悪くなります。
葉が黄色くなり、枯れてしまうことがあるので注意してください。
特に、生育初期には肥料を必要とします。
窒素が少ないと、葉が黄色くなります。
対策
元肥はしっかりとやるようにしましょう。
堆肥をまくと、土の肥料持ちが良くなります。
肥料と堆肥は、栽培の1~2週間前までにまいてください。
育ちが悪い場合は、追肥をしましょう。
葉に肥料がつかないように気をつけてください。

ほうれん草栽培で育たない失敗の原因|生育温度が合っていない
ほうれん草は、冷涼な気候を好みます。
ほうれん草の栽培に適した気温は、15~20℃です。
高温には弱く、30℃以上だと育ちが悪くなり、病気にかかりやすくなります。
耐寒性は強いですが、寒すぎると育たなくなります。
葉が傷みやすいです。
対策
春と秋の涼しい気温の時期に、育てるとよいです。
特に、秋は育てやすくなりますね。
春なら西洋種、秋なら東洋種が向いています。
高温期に育てるなら、耐暑性のある品種を選んでください。
また、半日蔭の冷涼な場所で育てるか、寒冷紗で遮光して気温を下げるとよいです。
寒い時期には、ビニールトンネルをして栽培すると気温の低下を抑えることができます。
基本的には、高温期や厳寒期にはなるべく栽培しないようにしましょう。

ほうれん草栽培で育たない失敗の原因|株が混み合っている
ほうれん草は、株間を6cmくらいあけて栽培してください。
間引きをしないで株が混み合っている状態だと、徒長したり、栄養の奪い合いになったりして生育不良になります。
ほうれん草の本葉が4枚になるころまでに、間引きをするようにしましょう。

ほうれん草栽培で育たない失敗の原因|土を耕していない
ほうれん草は、根が深くまで伸びます。
なので、土を深くまでしっかりと耕していないと生育不良の原因になります。
土は、20~30cmくらいの深さまで耕しましょう。
深くまで耕すのは、肥料をまいたあとにしましょう。
そうすると、肥料も深くにすき込むことができます。
ほうれん草栽培で育たない失敗の原因|日当たり
ほうれん草は、日当たりが少し悪くても育ちます。
ただ、あまりにも日当たりが悪いと、「葉色が淡くなる」、「徒長する」などの生育不良の原因になります。
日当たりが良すぎる場所で栽培すると、問題が起こることがあります。
高温期だと、日当たりの良い場所は気温が高くなり、育ちが悪くなるかもしれません。
また、長日だと、とう立ちしやすくなります。
外灯や家の明かりなど、夜間にも日が当たるようなところだと、ほうれん草はとう立ちしやすくなるので、気をつけてください。
対策
適度に日の当たる場所で育てるようにしましょう。
日が強く当たる場所では、寒冷紗をして日光を遮るとよいです。
とう立ちしないように、夜間に日が当たる場所では栽培しないでください。
春まきは日長の時期の栽培になるので、とう立ちしづらい西洋種を育てるとよいです。
密植は日当たり不足の原因になるので、間引きをして株間をしっかりとあけてください。
ほうれん草栽培で失敗する原因と対策|芽が出ない

ほうれん草の種は殻が厚く、芽が出づらくなっています。
なので、芽が出やすくなるように工夫をするとよいです。
芽が出やすくする方法は、以下のものです。
・芽出しする
・芽が出やすい種子を選ぶ
・発芽に適した温度の時期に種まきする
「芽出し」とは、種まきする前にあらかじめ芽を出しておくことです。
ほうれん草の種は、水につけておくと芽を出します。
芽が出た状態で種まきすることで、発芽率が上がります。
芽が出やすい種子を選ぶと、発芽をよくすることができます。
発芽しやすく加工してある種子には、「ネーキッド種子」、「プライマックス種子」などがあります。
ほうれん草の発芽適温は、15~20℃です。
発芽に適した気温でないときは、発芽率が下がります。
特に、25℃以上だと、発芽しにくいです。
他にも、「土が乾燥しないように水やりする」、「覆土は薄くする(1cmくらい)」などすると、芽を出しやすくすることができます。

ほうれん草栽培で失敗する原因と対策|生理障害
ほうれん草は、生理障害を起こして生育に失敗することがあります。
生理障害は、土の状態や気候が原因で発生するので気をつけてください。
生理障害を起こす原因は、以下のものです。
・土の栄養
・日当たり
肥料の三要素(窒素、リン酸、カリウム)が土に不足すると、生理障害が出やすいです。
生育が悪くなり、ひどいと枯れてしまうので、注意してください。
窒素、リン酸が足りないときは、葉が黄色くなります。
三要素以外にも、カルシウムが足りなくなることで、チップバーンが起こります。
チップバーンになると、葉先が内側に巻いて、葉が黄色くなり、枯れます。
日当たりが悪いと、葉色が薄くなり、育ちが悪くなります。
他にも、生理障害は「気温」、「土の水分」などが原因で起こります。
ほうれん草栽培で失敗する原因と対策|病害虫|発芽した後に枯れるのは立枯病かも
ほうれん草は害虫被害が少ないですが、害虫によって栽培に失敗することがあります。
「アブラムシ」、「ヨトウムシ」などの害虫がつきやすいです。
葉に食べられた跡があったら、虫がついている可能性があります。
害虫は葉の裏にいることが多いので、こまめに確認して、発見したら駆除しましょう。
防虫ネットをかけることで、害虫被害を減らせます。
病気にかかると、生育が悪くなります。
ほうれん草が病気になる原因は、「湿度」、「気温」などです。
特に、多湿だと病気にかかりやすくなります。
多湿にしないためには、「通気性」、「水はけ」をよくすることが大事です。
密植を避けることで、通気性がよくなります。
高畝(たかうね)にする、堆肥をまいて排水性を高める、などの方法で土の水はけを改善できます。
発芽した後に枯れた場合は、立枯病かもしれません。
立枯病は、高温、多湿で起こりやすいです。
肥料過剰だと、病気、害虫被害が多くなるので注意してください。


ほうれん草栽培で失敗する原因と対策|連作障害

連作障害が出ると、ほうれん草に「生理障害」、「病気」、「害虫」などの問題が起こります。
連作障害が起こらないように、1~2年はあけてから栽培するようにしましょう。
連作障害を減らすには、土壌消毒が有効です。
土壌消毒には、太陽熱で消毒する方法があります。
夏の気温の高い時期に、土に透明のビニールを被せて、2~3週間おきておきます。
そうすると、太陽の熱で土を消毒することができますよ。
ほうれん草栽培の失敗の原因と対策|まとめ
最後まで読んでいただいて、ありがとうございます。
ほうれん草栽培の失敗の原因と対策について、紹介しました。
ほうれん草栽培で失敗する原因と対策のポイントは、以下のものです。
・「土が酸性」、「肥料不足」、「気温が高い」などの要因で大きくならないことがある。
・種の殻が厚いので、芽が出ないことがある。「芽出しする」、「発芽しやすい種を選ぶ」という方法で芽が出やすくなる。
・「生理障害」、「病害虫」が原因で栽培に失敗するので注意する。
失敗しないように対策をすることで、おいしいほうれん草が収穫できます。
ぜひ、がんばってみてください。
家庭菜園の有機栽培についてもっと知りたい、という方にはオンラインスクールもおすすめです。

関連記事