肥料の三要素と成分|農家が教える|初心者でも簡単にわかる

肥料の三要素と成分

家庭菜園初心者の方でもわかるように、肥料の成分について説明します。

野菜の成長に必要な成分は17種類あります。

たくさんあって、覚えるのが大変そうですが、実はそんなに難しくはありません。

肥料として使う成分は、主に、肥料の三要素といわれる3種類です。

それ以外の成分も、肥料としてまかないことが多いですが、野菜の生育には大事なものです。

全ての成分について詳しくわかる必要はないかもしれませんが、どういったものがあるか知っておくと、家庭菜園で役立つと思います。

現役農家の「てんぞ」が解説します。

目次

肥料の成分表

肥料の成分

植物の成長に必要で、外部から補給しなくてはならない成分は17種類あります。

これを、必須元素といいます。

必須元素のうち、最も野菜に必要な量の多い成分は、水素、炭素、酸素です。

これらの成分は、大気、水から摂取されるので、肥料として施す必要はありません。

肥料として施さなくてはならない必須元素は、野菜が必要とする量にしたがって、大量要素・中量要素・微量要素に分けられます。

肥料の成分の一覧

※カッコ内は、成分の元素記号です。

大量要素

・窒素(N)

・リン酸(P)

・カリウム(K)

中量要素

・カルシウム(Ca)

・マグネシウム(Mg)

・硫黄(S)

微量要素

・鉄(Fe)

・マンガン(Mn)

・ホウ素(B)

・銅(Cu)

・亜鉛(Zn)

・塩素(Cl)

・モリブデン(Mo)

・ニッケル(Ni)

肥料の成分を紹介|肥料の三要素と役割

肥料の三要素 成分

大量要素成分|肥料で窒素・リン・カリウムは最も大事

大量要素の成分は、植物の成長にとって非常に重要で、多くの量が吸収されます。

家庭菜園で施す肥料のほとんどは、この大量要素の成分です。

そのため、これを肥料の三要素ともいいます。

窒素の効果役割

窒素は、野菜の構成元素の中で、水素、炭素、酸素の次に多い、とても重要な成分です。

野菜の葉や茎の生育に影響を与えます。

特に、葉の成長に大きく関わるので、「葉肥え」といわれています。

他にも、野菜のタンパク質や葉緑素(クロロフィル)を作る成分でもあります。

葉緑素の生成に関わるため、肥料の窒素の量が多いと葉の色が濃くなり、少ないと淡くなります。

窒素が欠乏すると、葉や茎の成長が悪くなり、葉が黄色になります。

逆に、窒素が過剰だと、葉が茂って野菜の栄養が葉にいってしまい、果実や根菜類の出来が悪くなります。

肥料のリン酸の効果役割

リン酸は開花・結実に必要な成分で、「実肥え」といわれています。

野菜の細胞分裂にもリン酸は関わり、根や茎の生育にとって重要な成分です。

リン酸は、生育初期に多く必要なので、元肥に全量を施すといいです。

リン酸が欠乏すると、葉が赤紫色になり、野菜の生育が悪くなります。

リン酸が過剰でも影響が出ない場合も多いですが、マグネシウム、鉄、亜鉛を欠乏させることがあります。

リン酸の残留

リン酸は、土に残留しやすいです。

そのため、最近は、リン酸が過剰にある土が多くなっています。

リン酸があまりに多く含まれる土では、野菜が病気にかかりやすくなるといわれています。

長年、家庭菜園をやっている畑では、注意したほうがいいかもしれません。

開墾したての家庭菜園では、逆に、リン酸が欠乏していることが多いようです。

カリウムの効果役割

カリウムは根の成長に関わる成分で、「根肥え」といわれています。

タンパク質や炭水化物の合成に関わり、葉で作られた炭水化物を根に運びます。

他にも、光合成を助けたり、寒さや病気に強くなります。

カリウムは、雨などで流亡しやすいので、肥料は元肥だけでなく、追肥でも施すのがいいです。

カリウムが欠乏すると、葉が褐色になります。

また、炭水化物の合成が減り、ジャガイモなどのイモ類のでんぷんの量が少なくなります。

過剰だと、マグネシウム欠乏が起こることがあります。

中量要素成分・役割

カルシウムの役割|肥料でまくと、土をアルカリ性にする

カルシウムは、野菜の細胞(細胞膜、細胞壁など)を丈夫にし、病害虫に強くなります。

根の先端の成長を促します。

また、カルシウムには土のphを上げ、土をアルカリ性にする効果があります。

カルシウムは土壌に充分含まれている場合が多く、肥料としてまくよりかは、酸度調整で使うことが多いです。

カルシウムが欠乏すると、尻腐れ病、芯腐れ病などが起こりやすくなります。

また、新葉の先端が黄白色になり、しだいに枯れます。

マグネシウムの役割

マグネシウムは、葉緑素を構成する成分です。

また、リン酸の働きを助けたり、脂質の生成に関わります。

肥料の苦土石灰の「苦土」は、マグネシウムのことです。

マグネシウムが欠乏すると、古い葉から葉脈の間が黄化します。

過剰だと、マンガン、ホウ素、亜鉛の欠乏が起こることがあります。

硫黄の役割

硫黄は、野菜のタンパク質を作る成分です。

硫黄が足りないと、野菜の生育が悪くなります。

ただ、硫黄を多く含む土がほとんどなので、肥料として施すことはあまりありません。

硫黄を含む肥料(硫安・硫酸カリなど)には、phを下げる作用があります。

硫黄が欠乏すると、葉色が薄くなり、新葉から黄色になり枯れます。

症状が窒素欠乏と似ているので、注意してください。

過剰による影響はあまりないですが、土が酸性になるので、野菜の成長を左右します。

微量要素成分

微量要素は、土の中に充分にあることが多く、肥料として施す必要はあまりないです。

たい肥をまいておけば、必要な微量要素は補給できるといわれています。

ただ、微量要素はphによって、野菜の吸収量が変わるので、土のphに気をつけましょう。

微量要素は野菜に吸収される量は多くないですが、微量要素が過剰でも、欠乏していても野菜の生育に影響を与えます。

なので、微量要素にも注意しましょう。

関連記事

  1. 肥料
  2. 大根の肥料のやりすぎに注意!おすすめは鶏糞?|肥料不足も注意
  3. 肥料の種類|使い道や効果、保管方法などを紹介|農家が解説
  4. 肥料の三要素と成分|農家が教える|初心者でも簡単にわかる *当記事
  5. ほうれん草の肥料、堆肥のおすすめは?石灰でpHを調整する
目次