家庭菜園初心者の方でもわかるように、大根の病気について一覧で紹介します。
大根の病気は、様々です。
症状が葉に出たり、根に異変が起こったりします。
黒くなる病気もあります。
野菜を栽培するうえで、病気は避けて通れないものです。
それぞれの病気の特徴や原因、対策を理解することで、病気にうまく対処できるようになります。
現役農家の「てんぞ」が解説します。
大根の病気の一覧
大根の病気には、多くの種類があります。ここでは、大根に影響を与える主な病気の一覧と、それぞれの病気の特徴について詳しく説明します。
大根の病気の一覧
- 黒根病(ブラックルート)
- 原因:土壌中の病原菌による感染。
- 特徴:根が黒く変色し、腐敗する。生育不良を引き起こす。
- 軟腐病
- 原因:細菌による感染。
- 特徴:根や葉が水浸し状態になり、やわらかく腐敗する。
- 根こぶ病
- 原因:土壌中の線虫による感染。
- 特徴:根にこぶのような突起ができ、生育が阻害される。
- 輪紋病
- 原因:菌類やウイルスによる感染。
- 特徴:葉に黄色い輪紋が現れ、生育不良を引き起こす。
- 疫病(ファイトフトラ病)
- 原因:菌類による感染。
- 特徴:葉が枯れたり、黒くなったりする。根も腐ることがある。
- 白さび病
- 原因:菌類による感染。
- 特徴:葉に白い粉状の斑点が現れる。
- 根腐れ病
- 原因:過湿な土壌状態や病原菌による感染。
- 特徴:根が腐り、植物全体の生育が阻害される。
- 黄葉ウイルス病
- 原因:ウイルスによる感染。
- 特徴:葉が黄色く変色し、生育が衰える。
大根の葉に症状が出る病気の種類
大根の病気の多くは、葉に症状が出ます。
病気になると、葉の色が変化したり、しおれる、落葉するなどの異変が起こります。
病気の特徴を理解して、早めに対策できれば、病気の被害を減らすことができます。
大根の病気|白さび病
特徴
大根の葉の裏側に、白い浮き出た病斑ができます。
病気が進むと、病斑から胞子が出て、拡散されます。
病気ができた部分の葉の表は、緑色が脱色します。
根や茎にも異常が起きる場合があり、黒いわっか状のものができます。
これをわっか症といいます。
原因
多湿のときに、発生しやすいです。
収穫期のころに病気になることが多くなります。
対策
過湿状態を避けてください。
密植を避けて、うねを高くするなどの対策が有効です。
発症した大根に農薬をまくことで、病気の悪化を防ぎ、感染を抑制できます。
農薬
ハチハチ乳剤、ライメイフロアブルなど
大根の病気|べと病
特徴
最初に、葉に不整形の黄緑の病斑ができます。
病斑はだんだんと大きくなり、葉脈に区切られた四角形になります。
病斑の色は次第に薄くなっていきます。
病斑のできた葉には、灰白色のかびが発生します。
これが、べと病の特徴です。
原因
少し涼しくて、多湿のときに発生しやすい病気です。
連作をすると、病気が出やすくなります。
胞子が飛散することで、感染が拡大します。
対策
多湿の状態を作らないことが大切です。
連作障害がでやすいので、連作はなるべく避けてください。
農薬
大根の病気|モザイク病
特徴
葉の緑色が濃くなったり、薄くなったりモザイク状の症状が出ます。
葉が縮れて、生育が悪くなります。
根に症状が出ることもあり、こぶのようなものができたりします。
大根の生育初期に病気になると、成長が著しく悪くなり、根が育ちません。
原因
ウイルスが原因の病気で、一度かかったら治せません。
モザイク病は、アブラムシが感染源です。
対策
アブラムシが大根に寄らないように、防虫ネットなどを使うのがいいです。
大根の病気|炭疽(たんそ)病
特徴
大根の葉に白い小さな斑点ができます。
病斑の色は、最初は白ですが、しだいに褐色になり、最後に灰色になります。
斑点同士がくっついて、大きな斑点を作ります。
病気が進むと、病斑の部分が破れて、穴が開きます。
原因
前作で病気になった野菜の残渣(ざんさ)から、感染します。
また、感染した株から、他の株に移ります。
対策
病気になった株は、すぐに畑の外で処分しましょう。
病気が発生した場所では、大根の連作はしないでください。
農薬
大根の根に症状が出る病気
大根の根に特徴的な症状が出る病気を紹介します。
根だけでなく、葉にも症状が出る場合が多いですが、病気を特定するには、根の状態を確認することが重要です。
大根の病気|軟腐病
特徴
症状が葉と根に全体的にでる病気です。
大根の葉が柔らかくなり垂れて、黄化して、やがて枯れます。
根では、葉の付近の根の頭に水浸状の病斑ができ、腐っていきます。
腐敗は、根の下の方まで進行します。
軟腐病の大きな特徴として、特有の悪臭がします。
原因
葉や根にできた傷口から細菌が侵入して、病気になります。
高温、多湿のときに発生しやすいです。
対策
夏まきなどの高温期の栽培を避けると、病気になる可能性が下がります。
多湿状態にしないために、密植を避ける、うねを高くする、雑草を繁茂させない、などの対策があります。
前作で病気が発生した場所では、連作をしないほうがいいです。
農薬
農薬は、病気が発生する前に、予防としてまくのが有効です。
農薬の種類は、カスミンボルドー、カセット、キンセットなどがあります。
大根の病気|萎黄病
特徴
大根の葉が黄色くなり、しおれて、枯れていきます。
根に症状が強く出やすく、内部の皮の下の維管束が環状に黒くなります。
原因
高温のときに発生しやすい病気です。
土壌で感染が拡がっていきます。
対策
夏まきなど高温期の栽培をしないようにすると、病気にかかる可能性が下がります。
病気になった株から、他の株に感染するので、病気の株はすぐに取り除くことが大切です。
病気が発生した場所での連作は、しないほうがいいです。
対抗性の品種があります。
土壌消毒が有効です。
農薬
クロールピクリン、トラペットサイド油剤、バスアミド日粒剤など
大根の病気|黒い点や黒くなる症状
大根の病気には、葉や根が黒くなるものがあります。
原因は、細菌やかびなどです。
それぞれの病気の特徴を理解して、適切な対策をとりましょう。
大根の病気|黒斑細菌病
特徴
黒斑細菌病は、細菌による病気です。
葉に水浸状の病斑ができ、しだいに黒い斑点に変化し、拡大していきます。
根にも病気は進行します。
はじめに根頭部に灰色の病斑ができ、やがて黒色になっていきます。
根が腐ったり、悪臭を放つことはありません。
病気が進むと、葉が黄色になり落ちたり、根の生育が悪くなります。
原因
温暖で雨の多い春と秋に起きます。
夏と冬には発生しません。
窒素や微量要素が不足している時にも病気が出やすいです。
対策
過湿状態にしないことが大事です。
密植を避ける、うねを高くするなどの対策方法があります。
肥料を過不足なくまくことで、土壌の成分を大根の生育に適した状態にすることも大切です。
大根の病気|黒斑病
特徴
大根の葉に黒点の小さい病斑ができます。
だんだんと病斑の周りの部分が乾燥して、白っぽくなり、やがて壊死します。
病斑の中心部も乾燥して、灰褐色になります。
古い葉が病気になりやすいです。
原因
秋の雨が多い時期に発生しやすいです。
早まきすると病気にかかりやすくなります。
肥料切れになったときも、起きやすいです。
対策
畑の水はけをよくしてください。
生育後期に肥料切れにしないようにしましょう。
アブラナ科の野菜を連作すると起きやすいので、アブラナ科の連作はひかえたほうがいいです。
大根の病気|バーティシリウム黒点病
特徴
大根の収穫まで葉や根に表面上の異変が見られないため、病気にかかってもわからないことが多いです。
病気にかかると、大根の根の内部の維管束に、放射状に黒点ができます。
萎黄病と似ていますが、萎黄病の場合は黒点が大根の皮のそばに環状にできます。
黒点は食べられる?
食べても問題ないですが、食感が悪くなり、見た目も劣化します。
心配なら、黒点の部分をよけて調理してください。
バーティシリウム黒点病は、農家の人でも外見では病気かどうか判断できないです。
そのため、病気の大根がスーパーなどに出荷されることがあります。
買ってきた大根の中が黒かったら、この病気の場合が多いです。
原因
気温20~26℃のときに発生しやすいです。
病原菌は土壌に長期間残って、野菜に伝染します。
感染した野菜の残渣(ざんさ)や堆肥などが感染源になります。
対策
病気が発生した畑では、連作しないようにしましょう。
病気にかかった植物の残渣は、残さず処分してください。
発症した土壌を消毒することで、病原菌を減らすことができます。
大根の病気|黒腐病
特徴
大根などのアブラナ科の野菜がかかる病気です。
病気の初期症状では、葉の縁が黄色くなります。
そのうち、葉の黄変した周りの部分(維管束)が黒くなります。
根にも症状がでます。
根の外側にはあまり変化はありませんが、光に当てると、あめ色になります。
根の内部では、導管が黒く変色します。
病気が進行すると、黒い部分が拡がり、腐っていきます。
悪臭はしません。
原因
細菌による病気です。
種や土で感染していきます。
雨、水やりのときに水が飛び散ることで、細菌が拡散され、病気が拡がっていきます。
対策
前作で病気が出た場所では、育てないようにしましょう。
また、アブラナ科の野菜の連作はひかえるのが無難です。
種は消毒したものをなるべく使うといいです。
病気が発生した株はすみやかに畑の外で処分しましょう。
雨や水やりのときに水滴が飛び散らないように、ビニールマルチをして栽培のもおすすめです。
農薬
Zボルドー、コサイド3000など
まとめ
大根の病気について、解説しました。
大根が病気になる原因は、主に、以下のものです。
・過湿状態
・連作
・肥料不足・過多(成長に必要な成分が少ない・多い)
大根が病気になる原因を作らないことで、病気を減らすことができます。
他にも、病気になった株を早めに処分する・前作で病気が発生した場合は栽培しない、などの対策が有効です。
病気が発生した場合には、症状をしっかり確認して、それぞれの病気にあった対策をとってください。
そうすれば、病気の被害を減らすことができます。
家庭菜園の有機栽培についてもっと知りたい、という方にはオンラインスクールもおすすめです。
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